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作ることから、届けることへ

「自分で全部作る」ことから、「必要な人に届ける」ことへ、プログラミングに対する自分の価値観が、これまでの作品とともにどう変わってきたのかを振り返ります。
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最近、自分がものを作る理由が、昔とはかなり変わったことに気づきました。
以前の自分にとって、プログラミングの一番の目的は「作ること」そのものでした。
思いついたものを、自分の手で実際に動くものにする。それだけで楽しかったし、できる限り自分ですべてを作ることにも価値を感じていました。

「自分で全部作る」最後の作品

高校受験の合格発表があったのは1月10日でした。
その約2週間後、1月22日に完成させたのが、リアルな3D画像を作ることができる「RC Tracing 0.0.0」です。
受験が終わった直後だったので、ある意味ではストレス発散として作っていた作品でもあります。
この頃のコードを見ると、今とはかなり違います。
光線の位置や角度、反射、減衰、描画まで、自分で一つずつ実装しています。今なら既存のライブラリやコンポーネントを使うような部分も、ほとんど自分で作っていました。
そしてRC Tracingは、バイブコーディングをまったく使わずに作った、自分にとって最後の作品でもあります。
それ以降は、AIを含め、他の人が作ってきた技術やライブラリを積極的に使うようになりました。
「自分で全部作る」ことよりも、すでに誰かが生み出したものを使って、自分の達成したい目的を達成することのほうが重要だと考えるようになったからです。
ただ、変わったのは作り方だけではありませんでした。
もっと大きく変わったのは、作る目的でした。

初めて「目的」のために作ったもの

変化の始まりは、中学2年生の頃です。
これから受験勉強をする自分のために、Scratchで「時間管理ツール」を作りました。
これは自分がScratchで作った最後の作品であり、受験前に作った最後の作品でもあります。
それ以前にもいろいろなものを作っていましたが、「何かを作ること」自体が楽しくて、誰のどんな問題を解決するのかを強く意識したことはありませんでした。
時間管理ツールには、初めて明確な目的がありました。
受験勉強の時間を管理する。
というとても小さな目的ですが、「作りたいから作る」だけではなく、「困っていることがあるから、それを解決するために作る」という考え方が、自分の中に生まれた作品でした。
自分が苦手だった、一日の時間を俯瞰して管理することを、タイムラインとして視覚化することで補いました。

自分の困難が、自分だけのものではないと知った

受験勉強期間では、自分の人生を振り返る機会が増えました。
面接などで自分の過去について話すために、それまでの経験を整理する必要があったからです。
その中で、自分が以前から文章を読むことに困難を感じていたことについて、改めて考えるようになりました。そして、その困難について具体的な名前を知り、調べるようになりました。
そこで初めて、自分が経験してきた困難は、自分だけが持っているものではないことを知りました。
同じように文章を読むことに苦労している人が、たくさんいるとそれを知ったときから、自分と同じように困っている人のために、何かを作りたいと思うようになりました。

自分の困難から、誰かのためのプロダクトへ

現在作っているものの多くは、自分自身が経験してきた困難につながっています。
RC Lineは、文章を読むことが難しい人のための読書支援アプリです。
自分自身が、小学校のころに文章を読んでいる途中で行を飛ばしたり、読むことだけで疲れてしまったりして、クラスで孤立して苦しんだ経験から始まりました。
Ei-TypeBombは、既存の英単語学習が合わない人のために作っています。
単語を覚えるために単語を書く、練習するために練習する、という方法が自分には合いませんでした。そこで、対戦ゲームの中で勝とうとする行為そのものが、英単語を思い出す練習になる仕組みを作っています。
その前に公開したRC Pulseも、学校でクラスメイトが持ち物を忘れるという身近な問題から生まれました。必要な持ち物を一覧で確認できるようにすることで、忘れ物を減らすためのものです。

「作る」と「届く」は違う

今年の留学では、RC Lineを海外に持っていき、実際にさまざまな人に見てもらいました。
そこで気づいたのは、自分が使いやすいと思って作ったものが、そのまま他の人にとっても使いやすいとは限らないということでした。
説明しなければ伝わらない操作があったり、自分では気づかなかったところで迷う人がいたりしました。
自分自身の困難から始めたプロダクトでも、自分だけを見ながら作っていては、同じ困難を持つ人に届くとは限りません。
作ることと届くことは違い、実際に使う人を見て、話を聞いて、そこからまた作り直すことのように留学を通して、「人のために作る」ということは、単に自分が良いと思うものを完成させることではないと感じるようになりました。

作ることから、届けることへ

昔の自分は、何かが完成すると、それだけでかなり満足していました。
自分の考えたものが動いたこと自体が楽しく、プログラミングをすること自体が目的でした。
もちろん、今でも作ること自体は大好きですが、今は完成しただけでは、まだ途中だと感じます。
どれだけコードを書いたか、どれだけ難しい技術を使ったか、どれだけ自分一人で実装したかは、自分にとって以前ほど重要ではなくなりました。
ライブラリを使っても、既存のサービスを使っても、AIにコードを書いてもらっても、目的を達成するために使えるものなら、使えばいいと思うようになりました。
私の目的は、作ったものを必要としている人に届けて、その人が抱えている困難を実際に変えることです。
そのためには、作るだけでは足りず、実際に使ってもらい、うまくいかなかったところを知り、また改善していく必要があります。
自分にとってプログラミングは、いつの間にか「作るためのもの」から、目的を達成するための手段に変わっていました。
そして今は、作ることよりも、その先にいる人に届けることを大切にしたいと思っています。